米国では高齢者にパソコンやインターネットの使用方法などを教えるシニアネットと呼ばれる団体の活動が盛んである。
シニアネットは全米に約2百の学習センターをもち、2003年までにこれを2倍に増やす計画である。 ここで学んだ卒業生はすでに10万人以上に達しているとのことである。シニアネットが成功している理由の一つには、自ら開発したユニークな指導方法がある。 まず、教師が全て高齢者であるということ。 教師が同世代であるから、受講者に適したゆっくりしたペースで教えるため、お互いの親近感も生まれる。 若い講師ではなかなかこのようにはいかない。高齢者の感覚がわからないために、早口であったり説明が難しすぎたりする。 また、高齢者が教師の場合、自身も教えることを生きがいと感じて研修技術を高めるよう努めるようになる。
テストは行わず、彼らの学習の進行状況に関して、いかなる形でも圧力は加えないというのもポリシーである。 シニアの多くはこれから職業につくわけでないし資格が必要なわけでもない。 ゆっくりでよし、何回間違がうのもよし、楽しく取り組むことができればそれが一番なのである。 そして励まし褒めるというのも年齢を問わず自信をつけさせその気にさせる秘訣である。
キーボードやマウスの使い方、文字サイズの拡大など、高齢者が関心をもつ内容が採り入れられている。 米国人は英語の読み書きができるので、だれでもキーボードができるだろうと思うのは間違いである。 高齢者は学校や職場でパソコンを習ったことがないので、パソコンの基本的な操作方法を知らない人が多い。 高齢者にとってはマウスも厄介な代物である。 ダブルクリックやドラッグという操作は、確かに若者でも慣れが必要である。
会員数は現在、50歳以上であれば、誰でも入会することができる。 日本でも、最近、シニア自身によるパソコン教室が全国各地につくられている。 シニアネットとの提携組織もある。 ネットを通じて元気シニアたちが世の中を明るくしてくれるのではなかろうか。(2月27日)